ボクらの主張

ボクらの主張 第3回

たのもー!

おーい、誰もいないのかー? たのもー!
あれ、開いてるぞ? そういや香乃もそんなこと言ってたか。もうちょっと奥まで入ってみるかな。

……。

むっ! 何奴!

それ、前回やったじゃん。

え? ええ、まあ……。
長森櫻先生、です、よね?

ああ。今回は私の番だって聞いてな。
どうすりゃいいんだ?

ええと、まずは自己紹介を……。

長森櫻。星見原学園の教員。長森均は私の従弟で……均の家に居候してる。
もう何年になるかな……ま、ずっとって感じだな。均は弟みたいなもんだ。

で、天文部の顧問やってる。部の顧問ってのは初めてだけど、均を巻き込んだのは私だし、それくらいはしないとな。
そんな感じだ。

自己紹介ありがとう。今回からは『僕らの頭上に星空は廻る』の登場人物をみていこうと思うんだ。
せっかくだから、櫻先生には「他己紹介」をしてもらおうかと。

本人以外が本人について紹介するっていう、アレか。

そう。自分で言うより、普段接してる他人から紹介してもらうほうが、いろんなことが見えたりするじゃない?

なるほどな。わかった。

じゃあ最初は誰から行こうか……無難に「速星すぴか」ちゃん。

速星か。均のクラスメートだな。速星は転校生で……。まあこう、半端な時期にバーンって転校してくるんだけど。小さい頃から転校しまくってて、全国行脚してる。なんつーかエージェントっぽいよな。秘密教育委員会とか、そういうのに所属してるんじゃないかって思うくらい。

なんですかそりゃ。

昨日読んだ漫画に出てきた。

あー。

あれは転校慣れっていうのかな、社交性があって、クラスに馴染むのが早かったようだな。香乃ともいつの間にか仲良くなってるみたいだ。均と昔なんかあった感じなんだけど、均はわかんないっていうし、人違いかねぇ。

あと宇宙好きってのもいいな。天文部のことにしたって、速星も均をけしかけてたしな。天文部でどうこうって経験はないみたいだから、全然何やるか分かってないんだけど、熱意はあるのがいい。速星の活躍がなければ、天文部だって成り立たなかったかもしれないんだぞ。

とにかく明るくていい子だ。自ら働きかけて、周りを楽しくする奴だよ。

なるほど……。じゃあ、次。「杉原香乃」ちゃんはどうだろう。

香乃は万能料理戦士だぞ。なんといってもメシがうまい。いや、均も大したもんだが。随分世話になってる。香乃がいなかったら長森家は崩壊だ。

そういう櫻先生はどうなの。料理とか。

私か?

ええ。

……向いてない。いやあ、できないとは言ってない。
細かいことは苦手だし、うちには料理上手い奴が二人もいるし……。

先生、目を合わせてください。

人間、得意不得意ってあるよな。

まあ、そういうことは、ある……。

そういうことだ。

じゃあ、そういうことで。

その感じで頼む。

えっと、香乃ちゃんの話だよね?

そうだよ、私の話はいいだろ。香乃の話だ。
あれは内面がひゅーっと外に出てる感じだよ。もの柔らかで、距離を感じさせない。さすがに下ネタは苦手みたいだけどな。

今の長森家じゃ、私より香乃の方が母親っぽいぞ。けっこうまめに面倒見てくれてさ。いやー、私も仕事忙しいし、助かるって。

弱点とかはないの?

んー、私と一緒で、朝は弱いよな。だけど私と違ってきっちり起きてくる。香乃は真面目だからさー。たとえば朝眠いとき、私なら寝続ける方法を考えるけど、香乃はシャキッと起きる方法を考えるって感じ。

あとは身体動かしたりするのは苦手っぽいぞ。均ってあいつなんでもソツないから、一緒にいるときはそろそろ均が合わせてやらないと、体力的に大変そうだな。

(やはり栄養が胸に……素晴らしい)

ここはこう、均がガツーンとなんとかしてやったらいいのにって思うけどさ。まあ、香乃にしろ均にしろ、見てる方は気を揉んじまうんだよ。まあ、あいつらはあいつらの人生を一生懸命生きてるわけだし、私がどうこうすることでもないんだけど。だから私は時々ちょっとちょっかい出して、楽しくしてやれればなー、ってな。

おっ、さすが、なかなか年長者っぽいことを言うね。若い子のもぞもぞした感じって、なんかむず痒いものはあるよね。
……おっと、ここで時間だ。

なんだ、もうこんな時間か。

うん。続きはまた次回ってことで。

おう、じゃ、また来るよ。今度は茶でも用意しておいてくれよな。それじゃな!